일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면

아오조라 문고

P丘の殺人事件

一

火曜日の晩、八時過ぎであった。ようやく三ヶ月計り前に倫敦へ来た坂口はガランとした家の中で、たったひとり食事を済すと、何処という的もなく戸外へ出た。

日はとうに暮れて、道路の両側に並んだ家々の窓には、既に燈火が点いていた。公園に近いその界隈は、昼間と同じように閑静であった。緑色に塗った家々の鉄柵が青白い街灯の光に照らされている。

大方の家は晩餐が終ったと見えて、食器類を洗う音や、女中の軽い笑声などが、地下室の明るい窓から洩れていた。ある家では表玄関と並んだ窓を一杯に開けて、若い娘がピアノを弾いていた。またある家では二階の窓際に置いてある鉢植の草花に、水をやっている華奢な女の手首と、空色の着物の袖だけが見えていた。

坂口は生れつきの気質から、賑かな市街を離れて、誰人に妨げられることもなく、黙々としてそうした甃石の上を歩くのが好きであった。彼の心は丁度古い邸宅の酒窖に置棄られた酒樽の底のように静かで、且つ陰鬱であった。

坂口は家を出た時から、伯父の事を考えていた。もともと伯父は寡口で、用の他は滅多に口を利かない程の変人であった。五十の坂を越しても未だに独身で、巨満の富を持っている。