후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면
そこには紺サージの服を着た男が、仰向に椅子に凭れたまま、ダラリと四肢を踏延している。私は少時、棒立になって立竦んでいたが、怖々ながら側へ寄って顔を覗込んだ。男は先夜サボイ劇場で、私の隣りにいた肥った中年の仏蘭西人で、後頭部を椅子の角へ凭せかけて口から涎を流している。私はこの有様を見て、何故この家の人達が姿を隠したかが朧気ながら首肯かれるように思った。この仏蘭西人はこの家の歓迎されない不意の訪問客であったに違いない。先夜サボイ劇場で彼等仏蘭西人が密談していた事実に徴しても男はこの家の喜ばれない客である事は明白である。そして予め来訪が分っていたならば、五時半のお茶に私を招待する筈はなかった。部屋にはこれといって目星しい調度はない。卓子の上に灰皿と煙草があった。男の足下に新聞と、立消えになった巻煙草の呑さしが落ちている。その吸殻と卓上の煙草とは同一のマークがついている。吸殻は黄色く燻ぶっていた。煙草に魔睡薬が仕込んであるに違いない。私はそれを自分のポケットへ蔵った。新聞紙は男のもってきたもので、この家のものでない事はポケット大に折り畳んだ折目がついているので直ぐ判った。