후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면
の父は突然病を得て倒れて了った。後に残った若く美しい母は、生れた計りの女の子を抱えて、しばらく其土地に暮していたが、そのうち屋敷を全部売払って、現在のクロムウェル街に住むようになったのである。
坂口は伯父とエリスがどのような関係にあるのかは少しも知らない。永い間海員生活をしていた伯父は、若い頃から幾度となく、英国と日本の間を航海していたが、つい二三年前に汽船会社を辞して了った。そして世間を離れて少時東京の郊外に仮寓していたが、何を感じたか、飄然と倫敦へ移ってきたのである。
多くも無い親戚ではあるが、同じ甥や姪のうちでも、伯父はとりわけ坂口を愛していた。そのような訳で、坂口は予てからの希望通り倫敦へ来て、伯父と一緒に住む事を許されたのである。
坂口は曾つて伯父の笑った顔を見たことはなかったが、伯父は親切で優しかった。坂口はそれだけ伯父の生活が寂しく思われてならなかった。倫敦へ来て親しく伯父に接するにつけて、頼りない伯父の身を気遣い、他所ながら面倒を見ようという殊勝な心持を深めていった。
「事によると、エリスさんの家にいるかも知れない」街の角に差かかった時、坂口は独言を云ったが、急に顔が熱って来るのを感じた。