후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいだすことなど
思い出す事など
夏目 漱石의 思い出す事など(おもいだすことなど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 57,003자 · 113화면
八
種類保存のためには個々の滅亡を意とせぬのが進化論の原則である。学者の例証するところによると、一疋の大口魚が毎年生む子の数は百万疋とか聞く。牡蠣になるとそれが二百万の倍数に上るという。そのうちで生長するのはわずか数匹に過ぎないのだから、自然は経済的に非常な濫費者であり、徳義上には恐るべく残酷な父母である。人間の生死も人間を本位とする吾らから云えば大事件に相違ないが、しばらく立場を易えて、自己が自然になり済ました気分で観察したら、ただ至当の成行で、そこに喜びそこに悲しむ理窟は毫も存在していないだろう。
こう考えた時、余ははなはだ心細くなった。またはなはだつまらなくなった。そこでことさらに気分を易えて、この間大磯で亡くなった大塚夫人の事を思い出しながら、夫人のために手向の句を作った。
有る程の菊抛げ入れよ棺の中
八
忘るべからざる八月二十四日の来る二週間ほど前から余はすでに病んでいた。縁側を絶えず通る湯治客に、吾姿を見せるのが苦になって、蒸し暑い時ですら障子は常に閉て切っていた。三度三度献立を持って誂を聞きにくる婆さんに、二品三品口に合いそうなものを注文はしても、膳の上に揃った皿を眺めると共に、どこからともなく反感が起って、箸を執る気にはまるでなれなかった。