후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいだすことなど
思い出す事など
夏目 漱石의 思い出す事など(おもいだすことなど)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 57,003자 · 113화면
二十二
二十二
余はうとうとしながらいつの間にか夢に入った。すると鯉の跳ねる音でたちまち眼が覚めた。
余が寝ている二階座敷の下はすぐ中庭の池で、中には鯉がたくさんに飼ってあった。その鯉が五分に一度ぐらいは必ず高い音を立ててぱしゃりと水を打つ。昼のうちでも折々は耳に入った。夜はことに甚しい。隣りの部屋も、下の風呂場も、向うの三階も、裏の山もことごとく静まり返った真中に、余は絶えずこの音で眼を覚ました。
犬の眠りと云う英語を知ったのはいつの昔か忘れてしまったが、犬の眠りと云う意味を実地に経験したのはこの頃が始めてであった。余は犬の眠りのために夜ごと悩まされた。ようやく寝ついてありがたいと思う間もなく、すぐ眼が開いて、まだ空は白まないだろうかと、幾度も暁を待ち佗びた。床に縛りつけられた人の、しんとした夜半に、ただ独り生きている長さは存外な長さである。――鯉が勢よく水を切った。自分の描いた波の上を叩く尾の音で、余は眼を覚ました。
室の中は夕暮よりもなお暗い光で照らされていた。天井から下がっている電気灯の珠は黒布で隙間なく掩がしてあった。弱い光りはこの黒布の目を洩れて、微かに八畳の室を射た。