후리가나로 읽는 일본 고전
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 72,671자 · 149화면
池袋の怪
安政の大地震の翌る年の事で、麻布の某藩邸に一種の不思議が起った。即ち麻布六本木に西国某藩の上屋敷があって、ここに先殿のお部屋様が隠居所として住って居られたが、幾年来別に変った事もなく、怪しい事もなく、邸内無事に暮していた。然るにその年の夏のはじめ、一匹の蛙が椽から座敷へ這上って、右お部屋様の寝間の蚊帳の上にヒラリと飛び上ったので、取あえず侍女共を呼んでその蛙を取捨てさせた所が、不思議にもその翌晩も飛び上る、その翌々晩も這上る。草深い麻布の奥、元より庭も広く、池も深く、木立も草叢も繁茂っているから、夏季になれば蛇も這出そう、蛙も飛出そう、左のみ怪しむにも及ばぬ事と、最初は誰も気にも留めずに打過ぎたが、何分にもその蛙が夜な夜な現われると云うに至っては、少しく怪しまざるを得ない。しかも日を経るに随って、蛙は一匹に止らず、二匹三匹と数増して、果は夜も昼も無数の蛙が椽に飛び上り、座敷に這込むという始末に、一同も是れ尋常事でないと眉を顰め、先ずその蛙の巣窟を攘うに如ずと云うので、お出入りの植木職を呼あげて、庭の植込を洗かせ、草を苅らせ、池を浚わせた。で、それが為かあらぬか、その以来、例の蛙は一匹も姿を見せぬようになったので、先ず可しと何れも安心したが、何ぞ測らん右の蛙がそもそも不思議の発端で、それからこの邸内に種々