후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 187,841자 · 376화면
「追いかけてとは?」
「仔細は、そこにおる寺僧に聞いて行け。早速に追わねばとり逃がすぞ」
三平は、畏まってそこを退り、やがて恵林寺の門前から一頭の駒を解いて、どこへともなく鞭を打って行った。
韮崎から西へ、駒ヶ岳や仙丈などの裾を縫って、伊那の高遠へ越えて行く山道がある。
「おおウーいッ」
と、この山間にめずらしく人間の声がした。ひとりの旅僧はふと立ちどまって振り向いたが、それきり谺もしないので、また峠路を先へいそいでいた。
「オオーイ、旅の御坊」
二度目の声はなお近くした。それに御坊とよぶ声も明らかだったので、僧は笠に手をかけて、ややしばし佇んでいた。程なく、喘ぎ登って来た男は、近づくとまず、皮肉な一笑を相手に投げて、
「めずらしいのう、渡辺天蔵。いつ甲州へ来ておったか」
と、いった。
旅僧はぎょっとした容子であったが、すぐ平静に立ちかえると、クツクツと笠のうちで、髪切虫のような笑い声をもらした。
「ほう。誰かと思ったら、甘糟三平どのだったか。いや、お久しぶりでござる。――いつもお達者で」
皮肉へ返すに、皮肉をもってした。お互いに敵地へはいって味方のために機密を探るのを職分とする者同士である。