후리가나로 읽는 일본 고전
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
山本 周五郎의 新潮記(しんちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 155,541자 · 305화면
風雪の中
一
風雪の中
一
嘉永五年五月はじめの或る日、駿河のくに富士郡大宮村にある浅間神社の社前から、二人の旅装の青年が富士の登山口へと向っていった。参道を掃いていた宮守の老人がそれをみつけて、「もしもし」と呼び止めた。
「あなた方はお山へお登りかな」
「ああそうです」背丈の低い方の青年がふりかえって答えた、叱られるとでも思ったものか、人の好さそうな円い顔が赤くなった、「そうです、これから登ろうと思うんですがなにか御禁制でもあるんですか」
「べつに御禁制というほどのことはありませんが、おまえさん方はもうお山には馴れておいでか」
「いや初めてですよ」
「剛力はお雇いでしょうな、荷を背負ったり道の案内をしたりする男です、下の宿でお雇いになったでしょう」
「それは、その、なんですか」
青年は困ったようにますます赤くなり、つれの方へ救いを求めるような眼を向けた。しかしつれの青年はまるでこっちの問答など聞えもしないようすで、片方の脚にからだの重みを支えながら、岳樺の芽ぶきはじめたみずみずしい枝をうっとりと見あげていた。
「で、それは、その、雇うきまりになっているんですか、つまりその剛力というのを雇わないといけないことにでも」