후리가나로 읽는 일본 고전
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
山本 周五郎의 新潮記(しんちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 155,541자 · 305화면
三
たお家柄ではあるが、その名のゆえに国家を忘れるほど軽率ではない、すくなくとも藤田彪はそう信ずる」
梅田定明の云った「時期に非ず人物なし」という言葉が、その本当の意味ではじめて秀之進に理解された。
「出よう」東湖はふいに、そう云うとじっとしていられないようなようすで立ちあがった、「急に海が見たくなった、大洗へ行って怒濤をみながら話そう、帰りに弘道館へ案内してもいいだろう」
「お供します」
秀之進もしずかに立った。
三
大洗の磯に近い料亭、いや料亭などとはいえないだろう。藁葺屋根の軒の傾いた家で、天床のないむきだしの梁に、まっくろに煤けた縁側も畳も波をうっている、およそ廃屋とでもいいたい感じのものだった。肴を作るのはひどく無愛想な老人で、酒を運ぶのは老婆がした。この老夫妻でやっているらしい。秀之進は昼食をとり、東湖は酒をのんだ。
「爺さん今日は波がないな」
東湖が海のほうを見やりながら云うと、老人はなにか汁を拵えていたが、ふり向きもせずに、「いまに雷さまが鳴るべえ」と云った。東湖も秀之進も空を見上げた。とうとうから梅雨で終った夏空はあくまで晴れあがって、ぎらぎらと眼に痛いほど輝く白雲が二つ三つ、北へ移動しているきり雷の来そうなようすはどこにもみえなかった。