후리가나로 읽는 일본 고전
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
山本 周五郎의 新潮記(しんちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 155,541자 · 305화면
建ってまだ間もないとみえるが、その家は造りも瀟洒に凝っていたし、わざとつくろわぬさまをみせた野庭の風情も平凡ではなかった。二人は萩の茂った小径を、踏石づたいにいって、別棟になっている茶室風の離屋へ案内された。梅八は口にはなにも云わなかったが、家の好みのよさと、あたりのふぜいと、そしていかにもぴったりと心の通じあう客と、こうして人眼を忍ぶような離屋におちついたことが、やるせないほどもしみじみとした感じを誘い、ついに味わうことのなかった、青春の日がかえって来たかのような気持にさえなった。
「静かないい家でございますね」
「たべものもなかなか悪くない」
田舎家を思わせるような古雅な行燈をあいだにして坐ると、客は脇差をとって置き、衿をくつろげて大きく息をついた。濡れ縁に置いてある蚊遣りの煙が、薄と萩の茂っている庭のほうへと、絶えずゆるやかになびいていた。
まるで拵えたような、これらの条件が、梅八の心を女らしい感情にひきいれてしまった。そしてそれ以上に巧みな相手の誘いを、そうと気づくこともできず、今こそあらいざらい聞いて貰えるという気持で、梅八はいつか身の上ばなしを始めていた。