후리가나로 읽는 일본 고전
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
山本 周五郎의 新潮記(しんちょうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 155,541자 · 305화면
そこまで云いかけて、藤尾は眩暈でもするようにくらくらと頭を垂れ、両手を畳へおろしてぐっと絶句した。
――可哀そうに。
秀之進はしめつけられるようにそう思った。武家の娘として、このような求婚に遭わなければならぬとは、……あたりまえなら仲人が立ち、父母がすべての心配をしてくれる筈だ、自分はむしろ羞恥の帳の蔭から、若い胸をおどらせて、父母の羽交の下に身をひそめていればよいだろうに、思いも設けぬ相手から膝詰めで、このような申込みをされる、しかも誰とてたよりにする相手もないのだ。
――しかしこれでいいのだ、今はそのような小さな個人の感慨に溺れている時ではない、すべての者がおのれを棄てなければならぬ、女も、子供も、もっと大きな苦しさ悲しさを踏み越えてゆかなければならぬ時なんだ。
かれは心をひきしめ、惨酷なほど冷やかな態度で娘の答えを待っていた。藤尾はしばらくのあいだ、つきあげて来る嗚咽を抑えつけていたが、ようやく心をたてなおしたとみえ、低く頭を垂れながらむせぶような声で云った。
「ありがたく、思召しをお受けいたします、どうぞゆくすえながく、お導き下さいませ」