후리가나로 읽는 일본 고전
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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
和辻 哲郎의 日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 208,277자 · 415화면
次に描かれる嬰児殺しの場面に至っては、醜悪はその頂点に達する。肌につけた守りの中の書付によって、嬰児は政右衛門の子と知られた。幸兵衛は人質が手に入ったと喜ぶ。政右衛門はその苦悩の絶頂において己が子を刺し殺す。が、この子殺しの苦悩は何のために忍ばれるのか。かくのごとき大いなる犠牲が払われねばならぬものを、我々は全然ここに見いだすことができぬ。作者のいうところによればそれは「手ほどきの師匠への言い訳」である。が、政右衛門は偶然にその妻子が現われくる以前に、すでに師匠を欺こうと決心し得たのであって、この決心のためにかほどの犠牲を要する人ではなかった。妻子の苦悩を傍観した前の場面と同じく、ここにも我々を納得させるような重大な動機は存しない。我々の心は彼の苦悩に同感することを拒絶する。
これらの一切の苦悩の後に、幸兵衛の見現わしと告白とによって因縁の錯綜が解かれ、幸兵衛の変心と娘のお袖の尼姿とによって幾分の和解が成立する。が、我々は前の苦悩が空虚であっただけにこの結末にもまた不愉快な空虚を感ぜざるを得ぬ。これらの人々は、わかり切った小さい和解に達するために、実に不相当な大きい苦しみを苦しむのである。