후리가나로 읽는 일본 고전
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
山本 周五郎의 春いくたび(はるいくたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,094자 · 142화면
三
三
香苗は待っていた。
時はすばやく経って行った。……香苗が十九の年になったとき、甲府の名高い富豪の家から嫁に欲しいという話があった。
香苗は嫁には行かなかった。
香苗の父は数年まえから新しい事業を創めていた、日本ではまだよく知られていない葡萄酒の醸造を思い立ったのである。それは困難な仕事であった、樹の育て方も、搾り方も、それを醸したり、貯蔵したりする方法も、すべて手探りでやるようなものであった。失敗が失敗に次いで起った。山が売られ田が売られた、家も屋敷もいつか資金のかたに取られていた。……甲府の富豪と香苗との縁談は、そういう状態のときに始まったのである。けれど香苗は、遂に嫁入ろうとはしなかった。
更に幾年か経って、世は明治と改元された。
そして秋が来たとき、高原の西の方にある村へ、維新の戦で傷ついた青年の一人が帰ったという噂が弘まった。
その噂を耳にすると直ぐ、香苗はその村へ出掛けて行った。……よく晴れた日で、熟れた稲の穂波の上に、雀や百舌が騒がしく飛び交していた。道は遠かった、森をぬけ、丘をめぐり、細い谿流の飛沫をあげている丸木橋を幾たびか渡った。