후리가나로 읽는 일본 고전
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
山本 周五郎의 柳橋物語(やなぎばしものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 104,300자 · 202화면
眼のまえが暗くなり、地面が波のように揺れだした。――あれはお嫁さんだわ。嘔吐しながらそんなことを思った。あのひとが庄さんの嫁である、いま自分の見たあのひとが庄さんの嫁である、いま自分の見たあのひとが庄さんと御夫婦になったのである、庄さんはあのひとと仕合せに暮しているのだ。……誰かがそばでなにか云っている、どうやら自分を介抱して呉れているらしい。立たなければならない。立って家へ帰らなければ。――おせんは立上った、そしてまたふらふらと歩きだした。耳の中でごうごうと、大きな音がし始めた、赤い恐ろしい焔が見える、街並の家がそこにちゃんと見えているのにそれとは別に眩しいような火焔がそこらいちめんに拡がってみえる、喉を焦がすような、熱い噎っぽい煙の渦、髪毛から青い火をたてながら、焔の中へとびこんでゆく女の姿、……そして巨大な釜戸の咆えるような、凄まじい火の音をとおして、訴え嘆くようなあの声が聞えてきた。
――おせんちゃん、おらあ辛かった、おらあ苦しかった、本当におらあ苦しかったぜ。
おせんは悲鳴をあげながら道の上へ倒れた。
自分ではもちろん覚えがない。東本願寺の角のところで倒れたのを、いちど番所へ担ぎこまれたが、そこに佐野正へ出入りする人がいて、これは足袋屋の仕事をしている者だと知らせて呉れた。