후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
此の山の麓から北方に拡がるサンホセの盆地から、米機の眼を盗み、兵達が搬送して来た籾をバンカに連ね、既に朝の籾搗きが始まったのであろう。両腕を組み、淡い光斑の散らばる小径を、黄色い花弁を蹴って歩きながら、彼はようやく自分が必要以上に靴先に力を入れ過ぎていることに気付きはじめていた。先刻ぼんやり隊長の室を見廻したとき、ふと彼の注意を牽いたのは机の横の壁に巧みに竹で造られた勲章掛けであった。あれは隊長自らが造ったものか、当番兵の佐伯がこしらえたものか――隊長が身体ごと向き直ったとき壁が揺れ、裸火の光をはじいていくつかの勲章がきらきらと光ったのだ。
(あのうつむいた隊長のひよわそうな顱頂を見おろした時ふと涙が出そうになったが、あの時の気持は何だろう)
突然にがい笑いが冷たく彼の頬にのぼって来た。
花田中尉が原隊を離脱してから既に一箇月近かった。
宇治の属する旅団は初め呂宋北端のアパリにいた。比島作戦に於ける米軍上陸必至の地点である。幾重にも陣地を構築して待っていたにも拘らず、レイテの戦況が一段落するや米軍は突如としてリンガエンに上陸を開始して来たのだ。リンガエンに於ける日本の守備は誠に微弱であった。