후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
私は一ノ関の諜者を逆に使ったのだ、と甲斐は云った。
「こういうことは、私には厭わしい」甲斐は眉をひそめた、「――じつに厭わしい」
十左衛門は頷いた。了解と劬りをこめた頷きのようにみえた。
「だが役には立った」と甲斐は続けた、「この年月のあいだに起こった紛争の多くが、表て沙汰になれば六十万石のいのち取りになりかねないものだった、一例だけあげれば鬼役三人の毒死だ、もちろん亀千代ぎみの召される膳部だから、置毒となれば大事ちゅうの大事だ、これは絶対に潰さなければならない、私は強引に押し切って、単純な食中毒ということにした、――置毒は入念に計画されたもので、一ノ関はすぐさま医師の河野道円とその子二人を打首に処した、したがって、食中毒とすることは極めて困難だったが、それでもどうやら押し切ることができたのだ」
「席次の争いも、同じ手ですか」
「うん、――」甲斐は低く呻き、それから疲れたような調子で云った、「あのとき席を知らせた目付役は、今村善太夫らだと聞いたが、善太夫は渡辺金兵衛や渡辺七兵衛らと共に、はやくから一ノ関に飼われていたも同然な人間だった、七十郎もそれは知っていた筈で、あれが紛争を起こすための罠だということをどうして見ぬけなかったか、私にはそのほうがむしろふしぎに見えたくらいだ」