후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
には、薩摩と加賀を味方につけなければならない、それにはまだ時日が必要だ」
薩摩と加賀が味方につくかどうか。加賀へはいちど手掛りをつけてみたが、話しに乗るようすはまったくなかった。もちろんはっきりした話しはしなかったし、婉曲に打診してみた程度であったが、手を握るには多くの時日と努力が必要だ、ということははっきりした。
「どうしても、涌谷をなだめなければならない」甲斐は暫くしてまたそう呟いた、「どうしても、――だが、どうなだめたらいいか」
満願寺の鐘であろう、九つ(午前零時)を打つのが聞え、それからまもなく、甲斐は起きあがって蚊屋を出た。
家の中は寝しずまっていた。甲斐は船岡でも此処でも宿直を置かない、次の間から縁側へ出、そして庭へおりていった。曇っているとみえ、空には星ひとつなく、足もともわからないほどの闇夜であった。露に濡れた芝生ではこおろぎが鳴きしきってい、甲斐が歩いてゆくと、そのまわりだけ急に鳴きやむが、あゆみ去るとすぐにまた鳴き続けるのであった。
「――暗いな」と甲斐は呟いた。
すると誰かが答えるように思った。
――まるでいまわれわれの置かれた立場のように暗い。