후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「かよがいるぞ」と甲斐が云った、「子供にそんなことを聞かせていいのか」
「おかあさま」とかよが振り向いて云った、「あたし清書きができたから、遊びにいってもいいでしょ」
「私と双六をする筈じゃないか」と甲斐が云った。
「ええ、そうなさい」とおくみが甲斐の言葉を遮って云った、「そこを片づけていらっしゃい、硯や筆は自分でちゃんと洗うんですよ」
かよは「はい」と云った。
甲斐は盃を口へ持ってゆきながら、かよのほうを沈んだ眼つきで見まもった。親子の縁の薄い子だ、と甲斐は思った。こんどは二年ぶりで会った。戊申の年に伊達屋敷が焼けたので、彼は任期を早めて出府したが、屋敷再建のために暇がなく、湯島を訪ねたのは明くる年の夏すぎであった。
――そのときは六歳だった。
六歳のときすでに、かよはもうあまり甲斐につきまとわなくなった。父と子の関係が、いつ断ち切られるかわからないということを、本能的に感じているのだろうか。そう思って甲斐は重い気分になった。まえにはよくあまえて彼を困らせた。いっときでも多く抱かれていようとし、幼ない知恵で彼の気をひこうとつとめた。そのときはそのときで、やはり縁の薄いことを感づいているのだ、と甲斐は思ったものだ。