후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,078자 · 285화면
「おまえに責任はない、そのことは忘れろ」と甲斐が云った、「――御助言は欲しかったが、実際に当ってどれほど役立つという目安はなかった、拒まれたほうが、却って思いきりがついてよかったかもしれない、ただこのことは、決して他にもれないようにしてくれ」
喜兵衛はふところ紙で顔をぬぐった。
江戸へ着いたのはいつだ、と甲斐が訊いた。昨夜おそく品川へ着きました、と喜兵衛が答えた。品川で宿を取り、今朝は未明に起きて本邸へ戻りましたところ、通用口があいておりました。うん、涌谷さまの出府で多用だから、門の通行は、平常より時刻が延びているのだ、と甲斐が云った。
「旅戻りにしては」と甲斐は微笑しながら喜兵衛を見た、「たいそうさっぱりとしているようだな」
「あまりむさ苦しゅうございますので、宿で剃刀を当ててまいりました」
「さがって休め」と甲斐が云った、「疲れのとれるまで保養するがいい、――それから、惣左衛門に来いと云ってくれ」
喜兵衛は出てゆき、まもなく惣左衛門が来た。甲斐は、「雁屋へ使いをやれ」いそぐぞと云って、用件を告げ、惣左衛門が去ると、立ちあがって寝間から出た。
日本橋から雁屋信助が来たとき、甲斐は出仕していたので、信助は惣左衛門と暫く話したのち、持って来た箱包みを置いて帰った。