후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,443자 · 398화면
「土地や建物も、あんがいぞうさなく手に入ったんだ。何もかも田沼さんのお力でできたことなんだがね。」
田沼さんというのは、朝倉先生が学生時代から兄事し崇拝さえしていた同郷の先輩で、官界の偉材、というよりは大衆青年の父と呼ばれ、若い国民の大導師とさえ呼ばれている社会教育の大先覚者で、その功績によって貴族院議員に勅選された人なのである。次郎はまだ一度もその風貌に接したことはなかった。しかし、朝倉先生の口を通して、およそその人がらを想像していた。先生のいうところでは、「田沼さんは、聖賢の心と、詩人の情熱とをかねそなえた理想的な政治家」であり、「明治・大正・昭和を通じて、日本が生んだ庶民教育家の最高峰」だったのである。
次郎は、「田沼さんのお力で」という言葉をきいた瞬間、何か霊感に似たものが胸にわくのを覚えた。朝倉先生の青年塾の計画については全くの初耳であり、ただ先生が上京以来、普通の学校教育以外のことを何かもくろんでいるらしいと想像していただけだったが、田沼――朝倉――青年塾――と、こう結びつけて考えただけで、近年日本の空を重くるしくとじこめている雲の中を一道のさわやかな自由の風が吹きぬけて行くような心地が、かれにはしたのである。