후리가나로 읽는 일본 고전
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면
しかし老女の後について這入ったところでは、内部の様子が籠城以前とは著しく変っていた。そこに収めてあった筈の武具やその他の嵩張った荷物が戦争のために悉く取り出されてしまったらしく、土間の大部分ががらんどうになっていて、一方の隅に急拵えで拵えた竃が築いてある。真っ暗なのでよくは見えないが、竃の下にちら/\している薪のあかりと外からさし込む月の光とで、法師丸にはそれだけが分った。と、同時に異様な臭気を感じた。倉庫に特有な黴の臭いでもあるけれども、それにいろ/\な物の交った、複雑な、不愉快な臭いである。おまけに、竃の上に釜が懸けてあって、湯が沸らしてあるせいか、妙にその臭いが生暖くたゞよって来る。
「梯子段でございますよ、お気をお附けになって。―――」
と云って、老女は二階へ上って行った。法師丸は又そのあとに従った。そして、梯子段を上り切ったところで、はじめて彼は明るい燈火の中にすわった。
「臆病であってはならない、どんな光景にも顔を背けてはいけない」
―――そう云う意識が、少年の眼を何より先にその室内の最も恐ろしい物体の上へ釘着けにした。彼は自分に一番近い所にいる婦人の、膝の前に置かれた一つの首級を見、それから順々に、そこに並んでいる首と云う首に視線を移した。