일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

谷崎 潤一郎의 武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 107,572자 · 209화면

아오조라 문고

此の前の事件と云うのは、一閑斎が病気になる二た月ばかりまえ、天文二十一年の十二月千種川の合戦の際で、その時も弾丸は一閑斎の顔の前面を、横に一線を描いて走った。尤もその折は一発しか飛んで来なかったので、河内介以外には気にかけた者もなかったくらいなのであるが、こうして再び似たような出来事に遭遇した今、河内介の胸に湧き上った不安の雲の塊は、次第に大きくひろがって行った。誰か、前には一閑斎の、そして今ではその嫡子織部正則重の、鼻を狙っている者があるらしい。―――河内介は、敵味方が火花を散らして闘いつゝある怒号と砂塵の中にあって、ゆくりなくも久しく忘れていた少年時代の悪戯の記憶を呼び戻した。鼻を斬られた薬師寺弾正の死顔、―――女首、―――首を見詰めている美女の謎の微笑、―――定めしそれらの幻影が電光の如く彼の眼の前を過ぎたであろう。同時に彼は此の場合の自己の任務を想い起した。ともすれば魂を天外へ連れて行こうとする幻影の魅惑を、彼は手を振って追い拂うようにしながら、第一に何者の仕業であるかを見極めようとした。此の日、城中の兵は必死の覚悟で斬って出で、寄手の陣を無二無三に衝き崩そうとかゝっていたので、戦場は最も激しい乱闘の巷と化し、此処でも彼処でも戦線が喰い違い、則重の本陣近くでも競り合いが続けられていたのであったが