후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
万々一いよいよ甲府勝手でも仰せ付けられたら、藤枝のお家はつぶれたも同様である。お時は自分の乳をあげた若様がそんな不心得な人間になったということは、なんだか自分にも重い責任があるようで、心苦しくってならなかった。
今夜もそれを繰り返していると、十吉は退屈そうに煤けた天井を仰いでいた眼を表の方に向けて、雨の音に耳を引っ立てた。
「おお、降る、降る。まるで嵐のようだ」
なるほど、雨は土砂降りであった。風も少しまじって来たと見えて、庭の若葉が掻き廻されるようにざわめいていた。蛙もさすがに鳴く音を止めてしまった。
跫音は雨のひびきに消されて聞えなかったが、人が門口に近寄ったらしい。雨戸を叩く音が低くきこえた。母子は眼を見合せた。
「この降るのに誰だろう」
十吉は起って縁さきに出た。戸を叩く音は又きこえた。
「あい、あい。今あける」
きしむ雨戸をこじあけて覗くと、闇のなかには竹の子笠をかぶって蓑を着た人が突っ立っていた。人はしずくの滴れる笠をぬぐと、行燈を持って出たお時がまず驚かされた。それは今も胸に描いていた番町の殿様であった。
十吉もやっと気がついてびっくりした。