후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
六
素足で河原を踏んでゆく女の足は遅かった。お染は息を切って駈けた。薄月と水明りとに照らされた河原には、二つの刀の影が水に跳る魚の背のように光っていた。それを遠目に見ていながら、お染はなかなか近寄ることが出来なかった。
二人の刀は入り乱れて、二つの人影は解けてもつれた。お染がだんだん近づくに連れて、鍔の音までが手に取るように聞えた。と思ううちに、一つの影はたちまち倒れた。一つの影は乗りかかってまた撃ち込んだ。勝負はもう決まったらしいので、お染ははっと胸が跳った。彼女は幾たびかつまずきながらようように駈け寄ると、その勝利者はたしかに半九郎と判った。
「半さま」と、彼女は思わず声をかけた。
「お染か」と、半九郎は振り向いた。
「して、相手のお侍は……」
「この通りだ」
半九郎は血刀で指さした。女のおびえた眼にはよく判らなかったが、源三郎は肩と腰のあたりを斬られているらしく、河原の小石を枕にして俯向きに倒れていた。そのむごたらしい血みどろの姿を見て、お染はぞっと身の毛が立った。彼女は膝のゆるんだ人のように顫えながらそこにべったりと坐ってしまった。
元和の大坂落城から僅か十年あまりで、血の匂いに馴れている侍は、自分の前に横たわっている敵の死骸に眼もくれないで、しずかに川の水を掬んで飲んでいた。