후리가나로 읽는 일본 고전
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かせいのまじゅつし
火星の魔術師
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 火星の魔術師(かせいのまじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 151,120자 · 302화면
その白粉の匂いと、体臭のむんむんする臭いが、彼自身に眩暈をさえ伴った、陶酔感を与えるのだ。
そして、ふと、その肉襦袢に、葉子のオカッパの髪が、二三本ついていたのを見つけると、その大発見に狂喜しながら、注意ぶかく抓み上げて、白い紙につつむと、あり合せの鉛筆で、
「葉子チャンノカミノケ」
そんな文句を、下手糞な字で、たどたどしく書きつけ、もう一度、上から擦って見てから、それを、肌身深く蔵いこんで仕舞った……。
こうした彼の悪癖が、益々慕って行った事は、その後、葉子の持ち物が、ちょいちょい失くなるようになった事でも、充分想像が出来た。
失くなるといっても、勿論たいした品物を、曲馬団の少女が、持っている訳はなかったから、もうすり減った、真黒く脂肪足の跡が附いた、下駄の一方だとか、毛の抜けて仕舞った竹の歯楊子だとか、そういった、極く下らないものだった。それで、
(盗られた)
という気持を、葉子自身ですら感じなかったのは、彼にとっては、もっけの幸いだった。しかしこれらの「下らない紛失物」が、黒吉にとって、どんなに貴重なものだったかは、また容易に想像出来るのだ。