후리가나로 읽는 일본 고전
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しろが
白蛾
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 白蛾(しろが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,700자 · 22화면
そしてそのどちらからともつかない曖昧さが、更に彼を焦ら立たせました。一層のこと、あの日すぐに、せめてその翌日に決行しないで、三日も延すだけの配慮をしたことが悔いられるのでした。仏印のハノイにいた頃、或るお茶の会の席から、某夫人を誘い出して、二人で自動車を駆って山荘に行き、夜半まで遊び暮したことなど、新たに思い出されました。
約束の土曜日になりますと、彼は仏印みやげの香水などちょっと体にふりかけて、三時前に、五重塔のところへ行きました。緑青色の屋根を重ねた重厚な感じのその高塔に眼を据えて、肚を据えてかかる気持ちを固めました。
ところが、彼より先に美津枝は来ていました。桜の並木の蔭から立ち現われて、真直に彼の方へやって来たその姿に、彼は眼を見張りました。いつもより濃く化粧をし、髪のカールを一筋乱れぬまでに梳かしつけ、薄鼠色の地に水色の井桁を散らした薄物をきりっとまとい、一重帯の帯締の翡翠の彫物を正面から少しくずらし、畳表づきの草履を白足袋の先につきかけ、銀の太い握りの洋傘を絽刺のハンドバッグに持ち添えていました。それだけのことを彼が見て取ったほど、彼女は今時珍らしい粋ないでたちでした。