후리가나로 읽는 일본 고전
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
蘭 郁二郎의 秘境の日輪旗(ひきょうのにちりんき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 84,829자 · 169화면
一枚の白い紙か、白い布きれに、滑稽なほど小さな赤い丸をかいた旗が、どの家にも出してあった。
皇軍が香港を占領してから、急にめいめい勝手に作ったもので、それでも日の丸の旗のつもりなのである。
戦争の間、どこか安全な場所に避難していた支那人たちも、皇軍が入城してからは安心しきったように、めいめいの家に帰って来ていた。――日本軍は軍事施設以外は爆撃も砲撃もしなかったので、町も建物も、すこしもいたんでいなかった。
食べもの屋も雑貨屋も古着屋もぽつぽつ店を開きはじめた。
戦争の前までは、夜通し店を開いているこの辺を酔っぱらったイギリスやオーストラリアの兵隊がさんざん乱暴をはたらきまわって、
「ちぇっ……いくらおとくいのイギリスの兵隊さんでも、あんまりひどいや……」
と、支那人に爪弾きされたものだ、が皇軍が入城してからは、酔っぱらいやごろつきも姿をかくしてしまい、殊に夜などはひっそりとしずまりかえっていた。
まして、こんなあらしの夜などは――。
町角に皇軍の市街警備を手伝っているインド人の巡警が、カーキ色のターバンを巻いた頭から濡れ鼠になったまま立っていて、怪しげな通行人を呼び止めている。