후리가나로 읽는 일본 고전
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
北条 民雄의 いのちの初夜(いのちのしょや)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 31,366자 · 63화면
床の中で、私はもうこのまま見えなくなってしまうのではあるまいかと思ったりした。すると五分と眼を閉じたままでいることができなかった。幾度も、そっと開けてみてはまたつぶった。
九時になると、私は右の眼を押えて、不用意に開くようなことがあっても光線のはいらぬようにして、医局へ出かけた。
眼科の待合室にはいってみると、すでにもう二十人あまりもの人が待っている。私は片方の眼で、それらの一人びとりを注意深く眺めた。誰も彼もみな盲目の一歩手前を彷徨(ほうこう)している人々ばかりである。みんなうつむき込んで腰をかけ、眼を閉じ、光線を恐れるように見えた。誰かに話しかけられて貌(かお)をあげる時でも決して充分眼を開くということはなかった。
そのうち、特に目立つのは、まだ年若い女が二人、並んで腰掛けている姿だった。一人は熱心なクリスチャンで、健康だった時分は小学校の教師であったという。いくらか面長な貌で鼻その他の恰好もよく、全体と調和がとれ、その輪廓から推(お)して以前はかなり美しい女であったに違いない。しかしいかんせん、すでに病勢は進み眉毛はなく、貌色が病的に白い。