후리가나로 읽는 일본 고전
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
山本 周五郎의 めおと蝶(めおとちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 23,977자 · 47화면
三
三
肩を抱き緊めた激しい力、頬や唇にうけた気の遠くなるような接触。それは思いだそうとしても思いだすことができない、身内のどこかに感覚の記憶として遺っている、慥かに記憶には遺っているのだが、……風のないむしむしする夜であった、葦の繁みはそよとも動かなかった。青井川の流れの音が、囁きのように聞えていた。
「不味い、なんだこれは」
或る宵の食膳で、良平が煮物を箸でつつきながら、鋭どい眼でこちらを睨んだ。それから箸を投げだし、
「こんな物は食えぬ、片づけろ」こう云って暴あらしく立ちあがった。眼が憎悪に燃え、両手の拳が震えていた。
「おれは、これまで、……食事のことで文句を云ったことはない」彼は喘ぐような声で云った、「――どんな物でもたいてい、黙って食べる、だがこのごろのおまえの拵らえる物はなんだ、こんな物を食わせるほどおれを軽侮しているのか」
軽侮という言葉を聞いて信乃は顔をあげた。良平はそれを上から射貫くように、すさまじいほどの眼で睨み、なにか云おうとして、そのまま自分の居間のほうへ去った。……信乃はじっと坐っていた、ふしぎにこころよいような、復讐でもしたもののような、一種の痛痒い感情がわいてきて、我にもなく微笑さえうかんできた。