후리가나로 읽는 일본 고전
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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川 緑波의 ロッパの悲食記(おもいで)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,651자 · 114화면
想い出
よき日、よき頃のはなしである。
フランスの汽船会社M・Mの船が、神戸の港へ入ると、その船へ昼食を食べに行くことが出来たものだった。
はじめての時は、フェリックス・ルセルという船だった。
その碇泊中の船の食堂で、食べたフランス料理の味を、僕は永遠に記念したい。
落着いた食堂で、純白のテーブル掛のかかったテーブルに着くと、黒ん坊のウェイターが、サーヴィスして呉れる。
パンを、皿に載せないで、直かに、テーブルクロースの上へ置かれたのに、いささか面喰いつつ――パンの粉を、黒ん坊のウェイターが、時々刷毛で掃除して呉れた。――先ず出て来た、フォアグラの味に、もう、うっとりとしてしまった。
本場のフランス料理ってものを、M・M汽船の食堂で覚えたことは、或いは僕にとって、生涯の不幸だったかも知れない。
だって、フェリックス・ルセルをはじめとして、それから僕が、神戸へ行く度に通った船は、クイン・ドウメル、アラミス等々と数多いが、皆それは、戦争のはじまり頃のことなのだ。
やがて、フランスの船へ食べに行くことなど、まかり成らない御時世にもなったし第一もう、M・Mの船なんか、日本へ来なくなってしまったのだもの。