후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
眇目の男は無言で向こうを指さすと、武者はうなずいて馬に一鞭あてた。つづいて十騎二十騎、あとには徒の者も七八十人付き添って、あき草の中を泳いで通った。
「もうよい。みな行き過ぎてしもうた。」
男は草むらにむかって声をかけると、二人は狐のようにそっと這い起きた。小坂部は不審そうに、采女にささやいた。
「あの人数は屋形の者ともおぼえぬが……。」
「お屋形の者ではござりませぬ。桃井か、山名か、塩冶を追っ手の者と見申した。」と、采女も小声で答えた。
いずれにしも、こんなところで彼等の眼にとまっては面倒である。首尾よく彼等をやり過ごしたのを喜びながら、二人は男のあとに付いて、この広い野を行きぬけると、やがて小さい村に出た、と思うと、采女は急に立ち停まった。
「あ、あの物音は……。」
彼はさすがに武士である。自分の眼の前に黒く横たわっている村の中に、弦の音や太刀の音が微かにひびくのを早くも聞き付けたのであった。小坂部も思わず足を停めた。今しがた通り過ぎた人数が果たして塩冶を追っ手の者どもであるなら、落人はかしこの村で追い付かれたのであろう。足弱を連れた塩冶の家来どもは目ざす所まで落ち延び得ないで、ここで都の討っ手に追い付かれて、とても叶わぬところとは知りながらも、必死に防ぎ闘っているのではあるまいか。