후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
中島 敦의 光と風と夢(ひかりとかぜとゆめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 79,032자 · 158화면
ふと、牛の鳴声を聞きつける。確かに私の所有する牛には違いないが、先方では所有主を見知るまいから、頗る危険だ。立停り、様子をうかがって、巧くやり過ごす。暫く進むと、々たる熔岩の崖に出くわす。浅い美しい滝がかかっている。下の水溜の中を、指ぐらいの小魚の影がすいすいと走る。ざりがにもいるらしい。朽ち倒れ、半ば水に浸った巨木の洞。渓流の底の一枚岩が不思議にルビイの様に紅い。
やがて又も河床は乾き、いよいよヴァエア山の嶮しい面を上って行く。河床らしいものもなくなり、山頂に近い台地に出る。彷徨すること暫し、台地が東側の大峡谷に落ちこむ縁の所に、一本の素晴らしい巨樹を見付けた。榕樹だ。高さは二百呎もあろう。巨幹と数知れぬ其の従者共(気根)とは、地球を担うアトラスの様に、怪鳥の翼を拡げたるが如き大枝の群を支え、一方、枝々の嶺の中には、羊歯・蘭類がそれぞれ又一つの森のように叢がり茂っている。枝々の群は、一つの途方もなく大きな円蓋だ。それは層々※(「儡のつくり/糸」、第3水準1-90-24)々と盛上って、明るい西空(既に大分夕方に近くなっていた)に高く向い合い、東の方数哩の谿から野にかけて蜿蜒と拡がる其の影の巨きさ! 誠に、何とも豪宕な観ものであった。