후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
中島 敦의 光と風と夢(ひかりとかぜとゆめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 79,032자 · 158화면
其の頃から、彼は外出の時いつも一冊のノートをポケットに持ち、路上で見るもの、聞くもの、考えついたことの凡てを、直ぐ其の場で文字に換えて見ることを練習した。其のノートには又彼の読んだ書物の中で「適切な表現」と思われたものが悉く書抜いてあった。諸家のスタイルを習得する稽古も熱心に行われた。一つの文章を読むと、それと同じ主題を種々違った作家の――或いはハズリットの、或いはラスキンの、或いはサア・トマス・ブラウンの――文体で以て幾通りにも作り直してみた。こうした習練は、少年時代の数年に亘って倦まずに繰返された。少年期を纔かに脱した頃、未だ一つの小説をも、ものしない前に、彼は、将棋の名人が将棋に於て有つような自信を、表現術の上に有っていた。エンジニーアの血を享けた彼は自己の途に於ても技術家としての誇を早くから抱いていた。
彼は殆ど本能的に「自分は自分が思っている程、自分ではないこと」を知っていた。それから「頭は間違うことがあっても、血は間違わないものであること。仮令一見して間違ったように見えても、結局は、それが真の自己にとって最も忠実且つ賢明なコースをとらせているのであること。