후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
岸田 国士의 光は影を(ひかりはかげを)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 138,262자 · 276화면
手紙にはたいてい、父の教訓めいた簡単な文句と、たどたどしい母の繰り言と、妹や弟の、その時の都合での紋切型の挨拶が同封してあつた。
父は小学校の校長を停年でやめて、それまで郷里に持つていたいくらかの家屋敷を売り払い、東京の荻窪へ、小さな住居と貸家を二三軒建て、裏の空地で養鶏をはじめていた。彼が外国語学校へ通うようになつて、一家の財政は、可なり困難のようであつた。家賃の取立てが思うようにならぬのが原因であつた。彼は、父に無断で学校をやめ、友人の伯父の経営する土建会社に事務員としてはいつた。父はそのことを賛成もせず、また強いて反対もしなかつた。彼は、自分が長男だという意識を、それほどはつきりもつて行動したわけではなかつた。しかし、時がたつにつれて、それは自然に彼の胸中に、一種の強制、自発的ではあつたが、絶対の力に抗し難いことを覚つた忍従のかたちで、もたもたしたものを残さずにおかなかつた。
彼の父、京野憲之は、在職中、師範出の、県下でも優秀な校長で通し、いわゆる政治的手腕なるものも認められていたらしく、多少は教育界のボス的存在であつたが、職を退くと、今度は、一転して、算盤を手から放さぬようになり、養鶏のかたわら、実用新案の工夫に没頭したり、怪しげな株を買い込んだりしていた。