후리가나로 읽는 일본 고전
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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
国枝 史郎의 国枝史郎歴史小説傑作選(あかげっと しなあちこち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 59,334자 · 121화면
航海は無事だった。
さよう、航海は無事だったがお客さんは無事では無かった。
今度の洋行で(我等の同行者はこの上海旅行を洋行と称していた)初めて洋服を着たという紳士(その実相場師なんだがね)その相場師の紳士が、レデー・メードの洋服を着て、デッキを横行闊歩するのはいいが、バンドをいつも緩めているのでズボンがふんだんにズリ下り、臍の辺を常住に見せているのには降参した。
某綿糸屋の若旦那は、朝、食堂へ出るのに折目のついたモーニングを着、夜、食堂へ出るのに、よれよれの普段着の日本服に袴を穿かないのだから面白い。
正に儀礼顛倒という訳だ。
婦人用厠へ飛び込んでボーイから剣呑を食わされたり、風呂の湯を湯槽の外へドカドカ流すというようなことは一向不思議で無く行われたという次第さ。こういう洋行赤毛布事件は岩倉公一行欧洲旅行以来途絶えていたものと解していたが、案外そうでは無いのだね。
こういう人達と旅行をしたのだ、さぞ不愉快だったろうと君は思うかも知れないが、その実は正反対で、洵に陽気で愉快だった。これは同業者――同じ文筆稼業人と一緒だったら、そこに商売敵的反目嫉視などが這入って不愉快だったろうと思うよ。