후리가나로 읽는 일본 고전
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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
蒲原 有明의 夢は呼び交す(ゆめはよびかわす)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 104,126자 · 210화면
痛い血を流すかわりに、樫の生木はその裂け目から一種強烈な香気を放散する。それは強くはあるが、またどこやら仄かなところがあり、人を深みに誘い込むような匂である。自然の生命は樹木の枝々の端までも通っている。それを悟らせるための匂であるように思われる。鶴見はそんなことをその時しみじみと感じた。
鶴見に取っては、庭は自分の体とそう違ったものではない。樹木の枝は彼の四肢であり、指先きである。役にも立たぬ雑草は彼の妄想でもあろう。そういう感じは年老いた今日までもまだ変っていない。
鶴見は鎌を揮いながらさまざまな匂を嗅いだ。どんな草にもそれ相応の特色がある。同じ青臭さのうちにも一つ一つ違いがある。折から白い花を咲かせているどくだみは、その根を引き抜くとき、麝香のような、執念ぶかい烈しい薫を漲らす。嗅神経がこれを迎えて、遑てていよいよ緊張する。鶴見はそれをあたかも幼馴染が齎らして来たもののように懐かしむのである。
話が一度どくだみの事になると、鶴見にはいつでも喚起される聯想のひとつがある。石川啄木に関することである。中央の詩界に華々しい初見参をした上に、なおも暫く活動をつづけていたが、やがてまた寂しく故郷の盛岡へ帰って行った直ぐ後のことである。