후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
その日の午後から、親子は腹痛と下痢で苦しみだしたのだ。しめ鯖の中毒かもしれないが、そうではなかったかもわからない。しめ鯖はうまかったし、匂いも変っているようではなかった。喰べた物はそれだけではなく、区別するのが困難なほど、雑多な食品が入り混っていた。
「これはしめ鯖じゃないな」父親は自己弁護というのではなく、症状を医学的に内省する、というふうな口ぶりで云った、「――もしもしめ鯖にあたったんならさ、まず蕁麻疹が出るか、嘔吐がおこるかするんだな、ところがおれもきみもそんな症状はなかった、これはだから、食中毒じゃないな、おれは冷えだと思うね」
子供は腹痛のため顔をしかめながら、そうだね、うん、と頷いていた。
西願寺の崖下に、殆んど毀れかかった共同便所がある。ずっと以前から使われなくなったので、朽ち乾いた板切れをつくねたようにしかみえない。いま使っているのは、その父親と子供だけで、下痢が続くあいだ、二人は小屋からそこへかようのであった。
三日めになると父親の症状はおさまった。彼の腹痛は一と晩すぎると治り、三日めには下痢も止った。子供のほうは腹痛も下痢も弱まらず、三日めをすぎるとすっかり衰弱して、崖下まであるいてゆくことができなくなった。