후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
「おい、たあ坊のおふくろ」と太郎の実父は云う、「おめえ若いのができたっていうが、このごろ女っぷりがあがったぜ」
「よう、花子のかあちゃん」と花子の実父は云う、「おめえこのごろすっかりごぶさただな、あんまり若いのばかり可愛がらねえで、たまにはこっちへもお裾分けを頼むぜ」
「乙にすますなえ、みの字」と四郎の実父は云う、「めっきりあぶらがのっちまって、若ぞう一人じゃあとてもおかったるいだろう、どうだ久しぶりに、やっとこでごってり――といかねえか」
次郎の実父はなにも云わない。なにも云わずに黙って、実力行使にでるそうである。これらの呼びかけや行動は、近所の人たちの眼があり耳のあるところで公明正大に演じられるのだが、みさおは決して羞んだり怒ったりするようなことはない。むしろ近所の人たちの眼や耳に対して、自分をみせびらかし、羨望感を唆るような態度をとるということであった。
これほどあけすけな妻のふしだらを、良太郎はぜんぜん知らなかったのであろうか。住民たちは知らずにいると信じ、かげで笑うだけでなく、ときには面と向ってあてこすりを云いさえするが、良さんは小さくまるい眼尻をさげ、柔和に微笑するばかりで、いかなる反応も示さなかった。