후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
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揚げ残りではあるけれども、本筋の下町ふうてんぷらに満足したとらは、食後のけだるい幸福感にひたりながら、ゆったりと帰途についた。こんども脇見などはしない、世間はおれのものだ、とでもいいたげな顔つきで、一歩、一歩と、本通りを横切ってゆく。各種の自動車、自転車、市電など、ぜんぜん気にかけない。――トラックが走って来てクラクションを鳴らす。ずう躰が大きくて、あるきぶりがゆうゆうとしているから、たとえ砂利トラの運転手でも眼をひかれずにはいられないのだ。
「やい、そこの泥棒猫」と運転手はクラクションを鳴らしながらどなる、「どかねえとひき殺すぞ」
とらは走りだすだろうか、否、彼は逆に立停ってしまい、ゆっくりとトラックのほうへ振返る。なんだ、という顔つきで、じっと運転手を睨みつけるのだ。運転手もまさかひき殺すわけにはいかないから、慌てて急ブレーキをかけ、トラックを停める。とらはそれを確認してから、おもむろに車道を横切ってゆくのである。
市電でも同じことであった。市電には正規のレール上を運行するという、一種の特権を与えられているから、そんなことはないだろうと思われるが、運転手には感情があるので、やはり承知しながらひき殺す気にはなれない。