후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
学課はなに一つまなばなかったし、体操も遊戯もしなかった。初めて教室へはいったときから、ずっと電車の絵ばかり描いてい、六年のあいだ、ただもう電車の絵だけを描き、家にいるときは電車の運転に没頭しようとした。
人が彼をばかと呼ぶとおり、慥かに六ちゃんの電車は現実には存在しないし、それを発車させ、運転し、終電に至って入庫させるまでの作業は、すべて架空なものであった。
けれども、それなら現実に市電を運転している者はどうであろうか。――中通りを北へいって、橋を渡り、横丁を一つ越すと本通りがあって、市電やバスや、各種の車が往来している。それはみな、現実の運転手によって、現実に運転されているのであり、その事実には些かの疑問もないが、しかし、はたしてそのままを信じていいだろうか。
ここに一人の運転手が、いま市電の運転をしている。だが、彼の心はそこにはない。彼はゆうべ細君とやりあったこと、またそのあと、近所の呑み屋で侮辱されたことなどから、少なからず厭世的な気分になっており、そのため感情が苛だっていた。彼は空想の中で細君を痛烈にののしり、呑み屋で自分を侮辱した客を繰り返し殴りつけ、そんな不愉快なめにあうのも、結局は自分が市電の運転などをしているからだ、という理由で、その職業までも呪った。