후리가나로 읽는 일본 고전
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
山本 周五郎의 季節のない街(きせつのないまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 201,379자 · 394화면
院長は医者であることの威厳を示しながら、医者には患者の生死について発言することは許されていない。患者が生きているうちは生きているのであって、呼吸と心臓が止り、その肉躰が生きることをやめたと確認したとき、はじめて「死」を宣告することができるのである、と云った。
「この仁善病院は儲け主義の病院じゃないんだ」と院長は急にふきげんになって云った、「よそみたいにぶったくり主義なら、とっくに建物も改造しているし、薬局だってどしどし新薬を入れられるんだ」
「病室はどこですか」
と辰弥がきいた。母がわたしもとゆっくり立ちあがり、院長は面倒くさいとでもいうように片手を振って、いましがた出て来たドアのほうへあるきだした。この病院は儲け主義ではないとか、ほかの病院のようにやっていたらもっと薬局にも新薬を備えることができるなどと、院長が急に憤懣を述べだしたとき、院長の左右の手首に無数の注射の痕があるのを、辰弥は認めた。
注射の痕はうす茶色で、そばかすかと思えるほど数が多く、白衣の袖の奥までびっしりと皮膚の表面を埋めていた。おそらく腕のほうから始めて、手首にまで及んだものであろう。