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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田 寅彦의 寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,804자 · 425화면

아오조라 문고

成立し得ない。気ままにピアノの鍵盤をたたきまわっても一つの音楽であるかもしれないがソナタにはならないと同様である。そういう意味における統制的要素としての定座が勤めるいろいろの役割のうちで特に注目すべき点は、やはり前述のごとき個性の放恣なる狂奔を制御するために個性を超越した外界から投げかける縛繩のようなものであるかと思われる。個性だけでは知らず知らずの間に落ち込みやすい苟安自適の泥沼から引きずり出して、再び目をこすって新しい目で世界を見直し、そうして新しい甦生の道へ駒の頭を向け直させるような指導者としての役目をつとめるのがまさにこの定座であるように思われるのである。

もっとも連句におけるいっさいの他の規約、たとえば季題や去り嫌いの定めなどもある程度まではやはり前述のごとき統制的の役目をつとめることはもちろんであるが、しかしこれらの制限と月花の定座の制限とでは言わば次元的に大きな差別がある。前者の拘束範囲が一つの面であるとすれば、後者はその面内にただ一つの線を画するような感じがある。もしこういう拘束がなかったとすると各自の個性はその最も安易な出入り口にのみ目を向けるであろうが、定座の掟によってそれらのわがままの戸口をふさがれてしまうので、そこでどうにかそこから抜け出しうべく許されたただ一筋の困難な活路をたどる