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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,804자 · 425화면

아오조라 문고

映画雑感(Ⅰ)

一

「バード南極探険」は近ごろ見た映画の内でおもしろいものの一つであった。これまでにも他の探険隊のとった写真やその記事などをいろいろ見てかなりまでは極地の風物の概念を得たつもりでいたのだが、しかし活動映画として映しだされたのを見ると、ただの静映像で見ただけでは到底想像のできなかったいろいろの真実をありありと見せられ体験させられるのである。たとえば流氷のようなものでも舷側で押しくずされるぐあいや、海馬が穴から顔をだす様子などから、その氷塊の堅さや重さや厚さなどが、ほとんど感覚的に直観される。雪原の割れ目などでも、橇で乗り越して行く時にくずれるさまなどから、その割れ目の状況や雪の固まりぐあいなどが如実に看取されるのである。

食糧品を両側に高く積み上げた雪中の廊下の光景などもおもしろい。食糧箱の表面は一面に柔らかい凝霜でおおわれていて、見ただけではどれがなんだかわからないが、糧食係の男は造作もなく目的の箱を見いだして、表面の凝霜をかきのけてからふたを開き中味を取り出す。この廊下一面の凝霜の少なくも一部分は、隊員四十余名の口から吐きだされた水蒸気がこの廊下へ拡散して来て徐々に凝結したものではないかと想像してみた。