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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,804자 · 425화면
しかし手首の柔らかいということは無節操でもなければ卑屈な盲従でもない。自と他とが一つの有機体に結合することによってその結合に可能な最大の効率を上げ、それによって同時に自他二つながらの個性を発揚することでなければならない。
孔子や釈迦や耶蘇もいろいろなちがった言葉で手首を柔らかく保つことを説いているような気がする。しかし近ごろの新しい思想を説く人の説だというのを聞いていると、まさしくそれとは反対でなければならないことになるらしく見える。なんでも相生の代わりに相剋、協和の代わりに争闘で行かなければうそだというように教えられるのであるらしい。その理論がまだ自分にはよくわからない。
三つの音が協和して一つの和弦を構成するということは、三つの音がそれぞれ互いに著しく異なる特徴をもっている、それをいっしょに相戦わせることによってそこに協和音のシンセシスが生ずる。しかしその場合の争闘相剋は争闘のための争闘ではなくて協和のための争闘である。勝手な音を無茶苦茶に衝突させ合ったのではいたずらに耳を痛めるだけであろう。
バイオリンの音を出すのでも、弓と弦との摩擦という、言わば一つの争闘過程によって弦の振動が誘発されるとも考えられる。