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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田 寅彦의 寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,804자 · 425화면

아오조라 문고

いわゆる付き過ぎた連句は、結局一句を二つに分けただけで「歩み」はない。同様に映画においても、たとえば単調なる「チャンバラ」の場面はいくら続いても、それは結局ただ一つのショットとしての効果しかない。これに反してたとえ識閾の上では単調な画面を繰り返していても、その底を流れる情緒の加速運動があれば観客は知らず知らずつり込まれ引きずられて行く。たとえば「パリの屋根の下」で町の歌い手が手風琴をひいて歌っている。その歌い手と聴衆が繰り返し繰り返し映写される。しかしその巧妙な律動的なモンタージュによって観衆の心の中の奥底には一つの葛藤がだんだん発展し高調されて行くのである。また同じ映画でダンス場における踊る主人公とこれをねらう悪漢との交互的律動的モンタージュもこれと全く同様である。これは二つの画面の接触作用によって観客の心に生ずる反応作用をその自然のリズムに従って誘導して行くのである。それでこのモンタージュのリズムが観客の期待のリズムに共鳴するときにはじめて最大の効果を収めうるので、これは音楽の場合と全く同様である。

このように、映画の画面の連結と連句の句間の連結とは意識の水準面の下で行なわれるときにはじめて力学的な意味をもつのである。