후리가나로 읽는 일본 고전
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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 213,804자 · 425화면
彼らはたとえば、呼び鈴の押しボタンの上に「呼び鈴」とはり札をし、便所の箒には「便所の箒」と書かなければどうも安心のできない国民なのである。そのおかげでドイツの精密工業は発達し、分析的にひどく込み入っためんどうな哲学が栄える。本来快楽を目的とする音楽でさえもドイツ人の手にかかるとそれが高等数学の数式の行列のようなものになり、目を喜ばすべき映画でさえもこの国でできたものは見ていておのずから頭痛のして来るようなのがはなはだ多い。これに比べてフランスにはいくらかの俳諧があるように思われる。セーヌ河畔の釣り人や、古本店、リュクサンブールの人形芝居、美術学生のネクタイ、蛙の料理にもどこかに俳諧のひとしずくはある。この俳諧がこの国の基礎科学にドイツ人の及ばない独自な光彩を与え、この国の芸術に特有な新鮮味を添えているのではないかとも思われる。たとえば近代物理学の領域を風靡した「波動力学」のごときもその最初の骨組みはフランスの一貴族学者ド・ブローリーがすっかり組み立ててしまった。その「俳諧」の中に含まれた「さび」や「しおり」を白日の明るみに引きずり出してすみからすみまで注釈し敷衍することは曲斎的なるドイツ人の仕事であったのである。