후리가나로 읽는 일본 고전
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
山本 周五郎의 山彦乙女(やまびこおとめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,360자 · 251화면
しかも、気があせるので、音を立てずに登ることは、不可能にちかい。山びとであるかれらは、おそらく、そういう物音に敏感で、半之助の所在を、すぐに聞きとめたのだろう、射かける矢みちをよけて、右と左から、松火を持った五六人の者が、ぐんぐん追い詰めて来た。
――逃げられない。彼はそう思った。おとなしく捉まるほうがいいかもしれない。……けれども、あの舞台の上の、(登世の)怒りにひきつった顔と、狂信的な叫びとが、そうする決心をにぶらせた。
――だめだ、逃げるほかはない、捉まったらそれまでだ。
彼はひっしに、木から木を伝い、暗い茂みのあるほうへ、そして上へ、上へと、けんめいに登り続けた。
まもなく矢は来なくなった。喚き声も、かなりひき離した。だが半之助は、ふり返るだけの、気持のゆとりはなかった。手も足も(いや殆んど頭から)朽葉と土にまみれながら、さらに二段ばかり、息もつかずに登った。
――綱吉が死んだ。
――誰かが失脚した。
彼はそのことを、初めて聞いた。誰かが、というのは、柳沢吉保をさすのであろう。すると、これまで接してきた、いろいろの断片が、ようやく、一点に、集約されるのを感じた。