일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひかげのまち

幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選

松本 泰

松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면

아오조라 문고

「今夕の五時半に私がお嬢様をお訪ねしてもよろしいと仰有るのですか」思掛けぬ老婦人の言葉に私は、自分の耳を疑う程であった。

「お待ち申しております」と老婦人はいった。

何という奇蹟のような機会であろう。余りによすぎる話に先方の意を計りかねて、しばらく躊躇したが、結局厚かましく招待に応ずる事にした。

後刻を期して老婦人に別れた私は、限りない歓喜にうなだれながら、何処をどう通ったか、殆んど夢心地にグレー街へ帰りついた。五時半、五時半には何事があろうというのか。

五

銀行前で見掛けた例の見窄らしい老人は、何の為に不自由な体躯であんなところにいたのか、怪しむべき限りであるが、異様な喜悦に魅せられている私の胸に、チラと疑惑の白い雲を投げただけで、そのまま消えてしまった。

グレー街の三階の部屋へ戻った時には、まだガラス窓に黄色い薄日が漣波のように慄えていた。広い家の中はカタリともせず真夜中のように寂かであった。私は暖炉の前の長椅子に身を投げて、石炭の燃える快い音をきいているうちに、いつかグッスリと睡入ってしまった。

夫から何時間経過ったか、眼を覚した時は部屋の中はすっかり昏くなって、窓の外に白っぽい霧が濛々と立罩めていた。