후리가나로 읽는 일본 고전
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
松本 泰의 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選(ひかげのまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 52,797자 · 107화면
とカクストン氏が訊ねると、その朝私と言葉を交えた係員が、
「その男は展覧会が開会された日から、いつもあの絵画の前に立っていましたから、私は出品者の柏さんという日本人かと思っていました。今になって考えて見ると、あれは支那人だったかも知れません。Rの音を皆なLのように発音していました。普通日本人の方だと、Lの発音が旨くゆかないようですね」とちらと私共の方を見ながらいった。事実私共はLとRの発音では、下宿の内儀さんからまで、やかましく云われていたのである。私の頭脳の中には柏の下宿の入口で擦れ違った仏蘭西人の顔が浮んでいた。屹度あいつが支那人を手先に使って盗ませたに違いないと思った。然し私がここで仏蘭西人の事などを手柄顔に持出すと、ついそれからそれへと糸をひいて、彼女の事にまで云い及ばねばならぬ破目になると思って、秘密の上に、また秘密を重ねてしまった。その代り私は柏の為に素人探偵の役を勤めて、必ずあの仏蘭西人を探出して絵を取戻そうと決心した。私はどうしてもあの仏蘭西人を犯人とひとりぎめにしていたのである。
私共はカクストン氏を遺して会場を出た。柏はすっかり気抜けがしたように呆乎していて、碌に私の言葉に返事もしなかった。