후리가나로 읽는 일본 고전
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
林 芙美子의 放浪記(初出)(ほうろうき(しょしゅつ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 103,349자 · 207화면
旅の古里
卅五円が続くといゝな。
お濠には、帝劇の灯がキラキラしている。私は汽車の走って行く線路を空想した。何もかも何もかもじっとしている。天下タイヘイで御座候か――。
旅の古里
六月×日
海が見える。
海が見える。
五年振りに見る、旅の古里の海! 汽車が尾道の海へさしかゝると、煤けた小さい町の屋根が、提灯のように拡がって来る。
赤い千光寺の塔が見える、山は若葉だ、海のむせた緑色の向うに、ドックの赤い船が、キリキリした帆柱を空に突きさしている。
私は涙があふれた。
借金だらけの私達親子三人が、東京行きの夜汽車に乗った時、町はずれに大きい火事があったが……。
「ねえ、お母さん! 私達の東京行きに、火が燃えるのは、きっといゝ事がありますよ。」しょぼしょぼ隠れるようにしている親達を私は、こう言って慰めたが、東京でむかえに来てくれる者は、学校へ行っている、私の男一人であった。
だが、あれから、あしかけ六年、私はうらぶれた体で、再び旅の古里である尾道へ逆もどりしている。その男も、学校を出ると、私達を置きざりにして、尾道の向うの因の島へ帰えってしまった。
気の弱い両親をかゝえた私は、当もなく昨日まで、あの雑音のはげしい東京を放浪していたが、あゝ今は旅の古里の海辺だ。